外国人財とともに働く中で、会話が思うように通じない、何を言っているか分からないといった経験をされたことはありませんか。
今回は、その理由を紐解き、外国人財の方に通じやすい日本語とはどんな日本語かをご紹介したいと思います。
会話が通じない理由
まず、日本で働く外国人は、どのような勉強をして、日本に滞在しているのでしょうか。
例えば、在留資格「特定技能1号」を取得するためには、日本語能力試験(JLPT)のN4レベル以上(N3、N2、N1)の能力を身に付けておく必要があります。そのため、N4レベル相当の日本語学習をしたり、N4に合格してから来日する方が多くいます。
N4レベルとは、JLPTのN4認定基準によれば、「基本的な日本語を理解することができる」レベルです。具体的には、「日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる」「基本的な語彙や漢字を使って書かれた日常生活の中でも身近な話題の文章を、読んで理解することができる」レベルです。詳しくは、こちら(N4解説)の記事をご覧ください。
JLPTには、語彙や文法、読解、聴解の問題がありますが、会話のレベルを測るものはありません。そのため、会話ができなくても、文法知識を身に着け、聞いたり読んだりする練習をすれば、合格できるとも考えられます。
N4に合格し、「基礎的な日本語」ができるはずなのに、会話ができない、何を言っているかわからない理由の一つには、会話能力がJLPTの評価に含まれないことも関係しているかもしれません。つまり、N4合格のために、日本語の語彙や文法などは勉強してきたものの、会話の学習や練習、実践の機会が少ないということが理由として考えられます。
会話をスムーズに進めるポイント
では、外国人財の方との会話をスムーズに進めるためにどうすれば良いのでしょうか。
外国人財の日本語レベルを上げる。これが真っ先に思い浮かんだ方が多いのではないでしょうか。もちろん、それが理想です。しかし、それには、少し時間も必要です。そこで、今回は、私たち受け入れ側に焦点を当て、すぐに実践できるコミュニケーション改善方法をご紹介します。ここでは、N4レベル相当の方とのコミュニケーションを円滑に進めるためのポイントを2つご紹介します。
会話文は短く丁寧に
1つ目のポイントは、会話文は、頭の中で整理がしやすいように短い文にし、丁寧な表現を使うことです。
いくつもの内容が含まれた長い文は、理解するのに時間がかかったり、混乱してしまったりする原因になります。「1文に1つ~2つの意味」という意識を持ちながら、長い文を解体し、複数の文で伝えると、理解の助けになります。
「明日の会議は10時からだから、それまでに資料をコピーして、会議室の準備をしておいてください。」
「明日の会議は10時からです。」「 10時までに資料をコピーしてください。」「 それから、会議室の準備をしておいてください。」
文を短くするときに気を付けたいのが表現の形です。日本語を母語としない人が日本語を学ぶ際は、まず、「~ます」「~です」などの丁寧な形から学ぶことがほとんどです。これは、初級学習者でも、相手に失礼な表現を使ってしまうことのないようにするためです。
指示や依頼をするときに使用する「見ろ。」「行け。」といった表現や「見て。」「行って。」といった省略された表現は、少し学習が進んでから学ぶこととなります。そのため、こうした表現も「見てください」「行ってください」というように丁寧な形にすると、理解がスムーズに進みます。
スムーズなコミュニケーションのための1つ目のポイントは、文は短く(1文に1~2つの意味まで)、丁寧な形(~です/ますの形)で話すことです。新しい言葉や文法を覚えたりする必要はありません。少し意識をするだけで、伝わりやすさが変わります。
語彙の選択はひらがなを意識する
2つ目のポイントは、語彙は、熟語やカタカナの言葉の使用を避け、ひらがなを含む語彙を使うことです。
文章をできるだけ短くすれば、分かりやすくなるということは、想像しやすく、実践されている方も多いかと思います。しかし、短くすることで、逆に理解の難易度が上がってしまうということもあります。
その一つが、熟語の使用です。日本語母語話者の感覚では、「会社に行きます」より「出勤する」、「会社を休みます」より「欠勤する」の方が、文が短く、簡潔な表現のように思います。また、漢字圏の方と筆談をするなら、それでスムーズに通じるかもしれません。しかし、日本語学習者が、熟語を多く学び始めるのは、初級後半以降からです。初級では、少しでも早くコミュニケーションがとれるよう、汎用性の高い語彙から学ぶためです。例えば、熟語「出勤」の場合は、「会社に行くこと」と、行先も限定されます。一方で、「~に行きます」を覚えれば、「~」の部分を入れ替えて、いろいろな場面で使用ができます。つまり、熟語ではない、後者が汎用性の高い語彙です。「出勤」→「会社に行く」のように文レベルに解体できる熟語は、少し長くなったとしても、解体後の方が理解しやすくなります。
例: ✕ 出勤します。→ 〇 会社に行きます / 来ます。
次に、カタカナの言葉の使用についてです。外国人相手に話す場合に、外来語であるカタカナの言葉であれば伝わりやすくなると想像するかもしれません。しかし、外来語(カタカナの言葉)は元の言葉と意味や発音が異なるものが多いです。また、日本語を学ぶ人には、カタカナの表記に苦手意識を持つ人も多くいます。そのため、「ヘルシー」→「体にいい」のように、言い換えた方が理解しやすいことがあります。「バス」や「テレビ」などのように、他の日本語表現がないものもありますが、カタカナの言葉も、できるだけひらがなを含む語彙に言いかえることを意識すると、より伝わりやすい日本語になります。
例: ✕ ヘルシーです。 → 〇 体にいいです。
スムーズなコミュニケーションのための2つ目のポイントは、熟語とカナカナの言葉をひらがなを含む言葉に言いかえることです。
まとめ
今回は、外国人財との会話が思うように進まない場合の理由と、その対策をご紹介しました。対策としてご紹介した、会話が通じやすくなる話し方のポイントは次の2つです。
- 会話の一文を短く、そして丁寧にする。
- 語彙の選択は、熟語やカタカナ語をできるだけ避け、ひらがなを意識する。
とても小さなことのようにも思いますが、少し意識をするだけで、伝わりやすさが格段によくなります。
今回は、受け入れ側ができる応急処置的な方法をご紹介しました。一方で、外国人財の方が会社の即戦力となり、また、日本社会にも参画していくためには、更なる日本語能力の向上も欠かせません。
効率良く学びを進めるためには、自身(外国人財)にとって必要な日本語にターゲットを絞り、集中的に身に付けていくことがポイントです。
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コメント
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