外国人雇用の話になると、よく耳にする「技能実習」と「特定技能」という言葉。
名前は似ているけど、何が違うの?とお悩みの方へ。今回は、その違いを簡単にご紹介します。
はじめに
まず初めに、「技能実習」と「特定技能」は、在留資格の名前です。在留資格とは、「外国人が日本に在留する間、ある一定の活動を行うことができることを示す資格」のことを指します。
技能実習と特定技能の創設目的
名前が似ている「技能実習」と「特定技能」ですが、そもそも創設された目的が大きく異なります。
「技能実習」は、国際貢献活動の一つとして、日本で学んだ技術を母国(開発途上国)の発展に活かしてもらうために設けられた在留資格です。一方で、「特定技能」は、日本国内の労働力不足の対応策として、即戦力となる外国人を受け入れるために設けられた在留資格です。それぞれの創設目的を知っておくことで、この後ご紹介する細かな違いが理解しやすくなります。
7つの違い
技能実習と特定技能の中身の違いを7つの焦点に絞ってご紹介します。一つひとつ見ていきましょう。
作業内容
技能実習と特定技能では、就業可能な分野や職種が異なります。技能実習は、現在90職種(165作業)で受入れが可能です。特定技能は、特に人手不足が深刻化していると考えられる12分野に限定されています。その中で、14職種での受入れが可能です。(令和5年11月末時点)
※各在留資格で許可されていない作業をさせることは、違法となるので要注意!
それぞれの産業分野や職種に関する詳しい情報は、下記のサイトをご参照ください。
技能実習:厚生労働省「技能実習制度移行対象職種・作業一覧(90職種165作業)」
特定技能:出入国在留管理庁「外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」p.7
在留期間
技能実習の在留期間は、「合計で最長5年」と期限が決まっております。技能実習1号→2号→3号と在留資格を更新することで、在留期間の延長が可能となる仕組みです。(1号が1年以内、2号が2年以内、3号が2年以内)
一方で、特定技能の在留期間は、1号が通算5年、2号が上限なしとなっております。(1号は最短4カ月ごとの更新、2号は最短6カ月ごとの更新)なお、特定技能1号から2号への移行は、介護分野を除く11分野が対象です。(介護分野には、また別の「介護」という在留資格が設けられています。)
技能実習から特定技能への在留資格変更も可能ですので、更新し続けることで、より長く日本で働くことができます。※しかし、技能実習の中で、特定技能には移行できない職種もあるので、要注意!
入国時の試験
技能実習は、日本で技術を学んでもらうことが目的なので、入国時の試験はありません。(介護職種のみ日本語能力の要件あり)
しかし、「即戦力」が求められる特定技能においては、ある一定のレベルに達していなければ在留資格が与えられません。その指標として、特定技能は「特定技能評価試験」と「日本語能力試験」の合格が条件となっています。
転職可否
技能実習は、あくまで「実習」であり、就労しているわけではないため、原則転職は不可とされています。(ただし、2号から3号への移行時は、同職種に限った「転籍」が可能です。)それに対して、特定技能は「就労」ですので、同じ作業区分と認められれば、転職が可能です
家族帯同
技能実習は、1号・2号・3号全ての在留期間において、家族の帯同が認められていません。一方で、特定技能は2号のみ、要件を満たせば家族(配偶者、子)の帯同が認められています。
受け入れ人数枠
技能実習は、適切な技術指導ができる環境が求められるため、受入れ機関の常勤職員の人数に応じた受入れ人数枠が設けられています。それに対して、特定技能は、労働力不足を補うための制度なので、基本的に受入れに関する人数制限はありません。(介護分野、建設分野を除く)
受け入れ方法
技能実習生の場合、技能実習生と受入れ企業の間に「監理団体」という非営利団体が入って、入国後の支援や監理を行います。一方で、特定技能の場合は、受入れ企業側に外国人材の支援義務があります。ただし、自社単体での支援が難しい場合は、支援計画の全部又は一部を「登録支援機関」という外部組織に委託することができます。
まとめ(比較表)
今回は、技能実習と特定技能の違いについてご紹介しました。改めて、創設目的を含む大きな違いを以下の表にまとめています。
技能実習 | 特定技能 | |
---|---|---|
創設目的 | 国際貢献 (開発途上国の発展協力) | 日本国内の労働力不足の対応策 |
作業内容 | 90職種(165作業) | 14職種(12分野) |
在留期間 | 合計で最長5年 (1号:1年以内、2号:2年以内、3号:2年以内) | 1号:通算5年(最短4カ月ごとの更新) 2号:更新上限なし(最短6カ月ごとの更新) |
入国時の試験 | なし(介護職種は日本語能力要件あり) | あり(技能力、日本語能力を試験等で確認) |
転職可否 | 原則不可(2号から3号への移行時は同職種 に限り転籍可能) | 同一の作業区分内に限り転職可能 |
受け入れ人数枠 | 常勤職員の人数に応じて人数枠あり | 人数枠なし(介護分野、建設分野を除く) |
受け入れ方法 | 監理団体が技能実習生と受入れ企業の双方 を支援する | 受入れ企業に特定技能外国人材の支援義務が あるが、登録支援機関への業務委託も可能 |
家族帯同 | 不可 | 1号:不可 2号:要件を満たせば可能 |
最後に
実際に受入れが始まった後、円滑な実習・雇用を進めるためには、外国人財と日本人社員様とのコミュニケーションが非常に大切となります。はた楽日本語では、各業種の職場や現場に特化したカリキュラムで、「使える日本語」を身に付けていただくレッスンをご提供しています。レッスンは、すべてオンラインで、全国どこからでもご受講いただけます。ぜひ、はた楽日本語をご活用ください。
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